枠組足場
ビルやマンションの外周に、同じ形の枠が何段も積み上がっていく。高い建物の足場といえば、長くこれでした。
枠組足場とは
門の形をした建枠を立て、正面を交差筋かいでつなぎ、布枠(鋼製の床)を渡して、1段ずつ積み上げていく足場です。部材がはめ込み式なので、ハンマーで叩く音がほとんど出ません。通称は「ビティ足場」です。
部材が丈夫で、中高層のビル、マンション、工場など、まっすぐで面積の大きい外周に向いています。高さは原則45m以下(仮設工業会の基準)。一方、建枠の寸法が決まっているので、形の入り組んだ建物や狭い敷地には向きません。階高(床から上の床まで)は1,700mmで、背の高い人は頭がつかえます。
部材と役割
| 部材 | 役割 |
|---|---|
| 建枠 | 門の形をした枠。高さ1,700mmが基本で、幅は1,219mm・914mm・610mmなど |
| 交差筋かい | 建枠どうしを正面でつなぐX形の部材。正面の墜落防止も兼ねる |
| 布枠(床付き布わく) | 作業床。つかみ金具で建枠に掛け、外れ止めをロックする |
| 脚柱ジョイント・アームロック | 上下の建枠をつなぎ、抜けないように留める |
| ジャッキベース | 一番下で高さを調整し、敷板の上に置く |
| 下さん・幅木 | 交差筋かいの下のすき間をふさぐ |
| 手すり枠・妻側手すり | 足場の端(妻面)からの墜落を防ぐ |
| 壁つなぎ | 足場と建物をつなぐ |
組立ての手順(手すり先行工法)
- 1層目の作業床建枠を立て、交差筋かいでつなぎ、1層目の布枠を掛ける
- 1層目の手すり1層目に先行手すりを付ける
- 2層目の建枠手すりに守られた状態で、2層目の建枠を立てる
- 2層目の手すり2層目に手すりを据え置くか、下の手すりを2層目へ送る
- 下さん・幅木交差筋かいの下に、下さんか幅木を付ける。これを最上層まで繰り返す
手すり先行工法には3つのやり方があります。
| 方式 | やり方 |
|---|---|
| 手すり先送り方式 | 専用の手すりを、組み立てながら上の層へ送っていく |
| 手すり据置き方式 | 専用の手すりを各層に据え置いていく |
| 手すり先行専用足場方式 | 手すりが最初から組み込まれた専用の足場を使う(次世代足場など) |
据置き方式と専用足場方式は、組立て中だけでなく、完成後のふだんの作業でも墜落防止になります。組立て・解体中の決まりと悪天候の目安はくさび足場のページにまとめています。
設置基準
| 壁つなぎ | 垂直 9m以下、水平 8m以下(高さ5m未満のものは除く) |
|---|---|
| 水平材 | 最上層と、5層以内ごとに設ける |
| 高さ20m超・重い物を載せる場合 | 建枠の高さ2m以下、建枠の間隔1.85m以下 |
| 正面の墜落防止 | 交差筋かいに加えて、下さん(高さ15〜40cm)か、幅木(高さ15cm以上) |
| 物の落下防止 | 幅木10cm以上、メッシュシート、防網のどれか |
| 作業床 | 幅40cm以上、すき間3cm以下、建地とのすき間12cm未満 |
点検のポイント
点検には2種類あります。
| いつ | 何をする |
|---|---|
| 毎日、作業を始める前 | 手すり・中さん・幅木などが外れていないか、脱落していないか。見つけたらすぐ直す |
| 強風・大雨・大雪・中震以上の地震のあと/組立て・一部解体・変更のあと | 足場全体を点検し、結果を記録して、工事が終わるまで保存する |
どちらの点検も、点検する人をあらかじめ指名しておく決まりです(2023年10月から)。指名は書面のほか、朝礼で口頭で伝える方法でもかまいません。点検したあとは、点検した人の名前も記録に残します。
枠組足場で見るところ
- 布枠のつかみ金具の外れ止めがロックされているか。建枠との間にすき間がないか
- 脚柱ジョイント・アームロックがロックされているか
- 交差筋かいのピンがロックされているか
- 交差筋かいが、全部の層・全部のスパンに、両面とも付いているか
- 下さん・幅木・手すり枠が付いていて、外れていないか。妻面に手すり・中さんがあるか
- ジャッキベース・敷板・根がらみに、沈下やずれ、ゆるみがないか
- 壁つなぎが専用の金具で取られていて、外されていないか
- 建枠・布枠・交差筋かいに曲がりや傷みがないか
解体のときの注意
- 手すりを残して外す:先送り方式では、先送り手すりを残したまま、その層の手すり・幅木・交差筋かい・建枠を外す
- 下の手すりを先に外さない:先送り手すりを下の層へ移すまで、下の層の手すり・中さん・幅木は外さない
- 壁つなぎの盛り替え:外壁の仕上げで壁つなぎを外すときは、近くに代わりを取ってから外す
- クレーンで下ろすとき:布枠や建枠をまとめて吊るときは、荷崩れしないよう結束し、下を立入禁止にする
よくある災害と対策
交差筋かいを外して、そこから落ちる
資材を入れるために交差筋かいを外し、戻さないまま作業を続けてしまう。正面の墜落防止がなくなる。
対策外したら、終わった時点ですぐ戻す。毎朝の点検で全層・全スパンを見る。
壁つなぎが足りず、強風で足場が倒れる
外壁工事で壁つなぎを外したまま、あるいは本数が足りないまま、メッシュシートが風を受けて倒れる。
対策壁つなぎは間隔どおりに取り、外すときは代わりを先に取る。台風の前は、メッシュシートをたたむことも考える。
組立て中に最上層から落ちる
手すりのない最上層で建枠を立てているときに起きる。国の分析でも、組立て・解体中の墜落の多くが最上層から。
対策手すり先行工法で組む。フルハーネスを掛ける。
試験とのつながり
- 1級建築施工管理技士 一次検定:足場
出典:労働安全衛生規則 第563条・第564条・第570条・第571条、厚生労働省「足場等関係の改正」、厚生労働省「足場等の種類別点検チェックリスト」、厚生労働省 委託事業「足場からの墜落・転落災害防止」技術資料(手すり先行工法)、厚生労働省「足場からの墜落防止措置の効果の分析」、国土交通省 近畿地方整備局「次世代足場」資料(階高)。 数値は2026年10月時点で確認しています。