仮囲い
工事現場と町の境目に立つ壁、それが仮囲いです。中で何が起きても外の人に危険が及ばないようにする、いちばん外側の防護です。
仮囲いとは
工事現場の周りを囲う、工事期間中だけの塀です。役目は大きく3つあります。
- 公衆を守る:通行人が現場に入ったり、資材や工具が外に飛び出したりするのを防ぐ
- 周りへの迷惑を減らす:騒音・ほこり・視線をさえぎる
- 盗難を防ぐ:夜間や休日に資材や機械を守る
設置基準
建築基準法施行令では、次の規模の工事で、工事期間中、現場の周りに高さ1.8m以上の仮囲いを設けるよう決められています。新築だけでなく、修繕・模様替え・解体も対象です。
| 建物 | 仮囲いが必要になる規模 |
|---|---|
| 木造 | 高さ13m超、または軒の高さ9m超 |
| 木造以外 | 2階建て以上 |
同じくらいの効果がある塀がすでにある場合や、周りの状況から危険がない場合は、この限りではありません。
国土交通省の「建設工事公衆災害防止対策要綱」でも、原則として高さ1.8m以上、特に必要な場合は3m以上とされています。
主な種類
鋼板(万能鋼板・フラットパネル)
- いちばんよく見る仮囲い。中が見えず、音やほこりも外に出にくい
- 中規模以上の現場の定番
ガードフェンス(メッシュ)
- 見通しがきき、風が抜ける。道路工事や短い期間の工事で使う
ゲート
- 車両の出入口。キャスターゲート、パネルゲート、ジャバラゲートなど
出入口のルール
要綱では、出入口について次のように決められています。
- 交通の邪魔になりにくい場所に設ける
- 開けたときに、工事車両が出入りできる高さと幅をとる
- 使わないときは閉め、公衆の立入禁止を掲示する
- 頻繁に開け閉めする出入口には、見張員を置く
- 扉は引戸か内開きにする(外の歩道側に開かないように)
- 車両の出入りが多いときは、交通誘導員を置く
周りの歩行者を守る
| 項目 | 要綱の基準 |
|---|---|
| 歩行者の通路(車道と別に確保) | 幅0.75m以上。歩行者が多い所は1.5m以上 |
| 現場の中に公衆を通す仮設通路 | 幅1.5m以上(難しい場合0.75m以上)、高さ2.1m以上。夜間は照明を付ける |
| 落下物の防護棚 | 足場から水平5m以内などに人や車が通る場合に設ける。高さ10m以上で1段以上、20m以上で2段以上 |
いちばん怖いのは風
仮囲いは、風を受ける面積がとても大きい壁です。控えが足りない、根元の固定が甘い。それだけで、強風の日に道路側へ倒れます。倒れる先にいるのは、工事と関係のない通行人です。
強風で、ゲートが仮囲いごと倒れた(国の事故事例)
低気圧の強風で、出入口のジャバラゲートが、つながっていた仮囲いごと倒れ、近くの車両を傷つけた。メッシュフェンスをH鋼に固定していたが、強い風への備えが足りなかった。
対策出入口を仮囲いから独立させ、建枠と単管の門扉に変えた。仮囲いの中段に単管を通し、ボルトと番線で控えを取って補強した。台風などが予想されるときは、すぐに養生する。
- 裏側に単管の控えを取り、根元はアンカーや重しでしっかり固める
- 台風や強風の予報が出たら、前日に控えと固定を見て回る
- ゲートは仮囲いから独立させて固定する
- 風が抜けにくい場所では、上部をメッシュにして風を逃がすこともある
仮囲いに掲げるもの
出入口のあたりには、法令で掲示が決められている標識がまとめて掲げられます。
- 建築確認の表示(建築基準法)
- 建設業の許可票(建設業法)
- 労災保険関係成立票
- 施工体系図(工事関係者が見やすい場所に。公共工事は公衆が見やすい場所に)
道路に仮囲いがはみ出す場合は、道路占用の許可と道路使用の許可が別に必要です。
試験とのつながり
出典:建築基準法施行令 第136条の2の20、国土交通省「建設工事公衆災害防止対策要綱(建築工事編)」(第20条〜第28条)、国土交通省 関東地方整備局 港湾空港部「工事事故事例」、建設業法 第40条・第24条の8、道路法 第32条、道路交通法 第77条。 数値は2026年10月時点で確認しています。