吊り足場

下に地面がない。足場を立てられない。そんな場所で、上の構造物から吊り下げるのが吊り足場です。落ちたら下で止まるものがないので、決まりはほかの足場より厳しくなっています。

鉄骨の梁 つりチェーン(安全係数5以上) 脚立・はしごは使わない 作業床:幅40cm以上・すき間なし 足場けた 下には地面がない(川・道路・吹抜け)
鉄骨の梁からチェーンで吊り下げた吊り足場。下は空いています。

吊り足場とは

鉄骨の梁や橋の桁から、チェーンやワイヤで足場を吊り下げる足場です。橋の桁下、鉄骨の梁下、吹抜けの上など、下から足場を立てられない場所で、ボルトの本締め、溶接、塗装、耐火被覆などの作業に使います。

単管と足場板を番線で組む昔ながらのやり方のほか、床・手すり・吊り金具が一体になった、組みやすいシステム吊り足場も使われています。

部材と役割

部材役割
つり元金具梁のフランジなどに取り付け、チェーンを掛ける
つりチェーン足場を吊る。間隔は設計どおりに
つり桁(足場けた)チェーンで吊る横材。単管などを使う
根太つり桁の上に渡し、床材を支える
床材作業床。根太やつり桁に番線などで固定する
手すり・幅木(側板)作業床の周りの墜落・落下防止
控え・振れ止め足場の揺れやずれを止める
水平ネット足場の下に張り、組立て中の墜落と落下物を受ける

組立ての手順

  1. 下にネットを張る先に、作業範囲の下に水平ネットを張る。組立て中の墜落と落下物を受け止める
  2. つり元金具とチェーン梁につり元金具を取り付け、チェーンを掛ける。間隔は設計どおりに
  3. つり桁と根太チェーンにつり桁を吊り、その上に根太を渡して緊結する
  4. 床材床材をすき間なく敷き、番線などで固定する
  5. 手すりと幅木手すり・中さん・幅木を付け、控えで揺れを止める

組んでいる途中は、まだ手すりも床もそろっていません。作業床が取れないときは、幅20cm以上の足場板2枚を交互に送りながら進める方法が認められています。それでも、親綱にフルハーネスを掛けることは外せません。

設置基準

作業主任者高さに関係なく選任が必要(5m未満でも)
吊り材の安全係数ワイヤロープ・鋼線 10以上/チェーン・フック 5以上/鋼帯 2.5以上
作業床幅40cm以上で、すき間がないこと
揺れ・ずれ控えを取って、揺れたりずれたりしないようにする
脚立・はしご吊り足場の上で使って作業してはいけない
点検その日の作業を始める前に点検する

ほかの足場の作業床は「すき間3cm以下」ですが、吊り足場は「すき間なし」です。

使ってはいけない吊り材の基準(ワイヤロープの素線切れ10%以上・直径の減り7%超・キンク、チェーンの伸び5%超など)は、玉掛け用ワイヤロープとほぼ同じです。

点検のポイント

吊り足場は、毎日その日の作業を始める前に点検します。悪天候や地震のあと、組立て・変更のあとも点検して記録を残すのは、ほかの足場と同じです。

  • つり元金具やフックに、き裂・曲がり・さびがないか
  • つりチェーンの間隔が設計どおりか。チェーンとつり桁が確実に留まっているか
  • 根太がつり桁に、緊結金具などで確実に固定されているか
  • 床材が番線などで固定され、すき間なく敷かれているか
  • 手すり85cm以上・中さん35〜50cm・幅木(側板)が付いているか
  • 筋かい・控え・振れ止めが外されていないか
  • メッシュシートや防網が、確実に留まっているか

解体のときの注意

  • ネットは最後まで残す:下の水平ネットは、足場を外し終わるまで外さない
  • 手すりは最後まで残す:手すりから外すと、外している最中に落ちる
  • 部材を落とさない:外した床材や単管は、つり袋などで下ろす。下を立入禁止にする

よくある災害と対策

組立て・解体中に、床のない所から落ちる

手すりや床がそろっていない途中の段階で、足を踏み外す。

対策下に水平ネットを先に張る。親綱にフルハーネスを掛ける。足場板2枚を交互に送る方法を守る。

脚立を持ち込んで、足場の外へ落ちる

届かない所に脚立を立てて作業し、手すりを越えて落ちる。吊り足場の上で脚立を使うことは禁止されている。

対策届かない所は、足場を組み直して作業床を設ける。

部材や工具が下に落ちる

すき間から工具や小物が落ち、下の人や通行する車に当たる。

対策床はすき間なく敷き、幅木と防網・シートを付ける。下を立入禁止にする。

試験とのつながり

出典:労働安全衛生規則 第562条・第564条・第565条・第568条・第574条・第575条、平成21年の安衛則改正の施行通達、厚生労働省「足場等関係の改正」、厚生労働省「足場等の種類別点検チェックリスト」。 数値は2026年10月時点で確認しています。