足場からの墜落事故の事例と原因国の報告書の41件・どこから落ちたか・組立て解体中の事故・防ぐための5つ
公開 ・ セコカン君
足場からの墜落で、毎年人が亡くなっています。国の報告書にまとめられた足場からの墜落の死亡事故41件(令和元〜3年)をもとに、どこから、どんな作業中に落ちたのか、何が足りなかったのかをまとめました。
01建設業の死亡事故の多くは墜落
厚生労働省の報告書によると、令和元〜3年の建設業の墜落・転落による死亡は315人です。そのうち足場からの墜落は約2割です。報告書では、墜落防止の措置がされていなかった事故が多いとされています。
0241件の内わけ
報告書では、令和元〜3年に起きた足場からの墜落の死亡事故41件(本足場33件、一側足場8件)を1件ずつ整理しています。
| 本足場(33件) | 件数 |
|---|---|
| 組立て・解体の最中 | 12件 |
| 通常の作業中・足場の外側から | 12件 |
| 通常の作業中・建物(躯体)と足場のすき間から | 6件 |
| 通常の作業中・作業床が外された所などから | 3件 |
| 一側足場(8件) | 件数 |
|---|---|
| 通常の作業中 | 7件(外側6件、躯体側1件) |
| 組立て・解体の最中 | 1件 |
組立て・解体中の事故は3分の1くらいで、残りは足場を「使っている」最中の事故です。足場を組む人だけでなく、足場の上で作業するすべての職種の問題です。
03何が足りなかったか
| 本足場で書かれていたこと | 件数 | 補足 |
|---|---|---|
| 墜落制止用器具を使っていない・親綱にかけていない | 6件 | 組立て・解体中が4件 |
| 手すり・中さんがない | 6件 | |
| 作業前の点検、組立て後の点検をしていない | 4件 | |
| 手すり・中さん・親綱のどれかが不十分 | 15件 | 本足場33件のうち |
組立て・解体中の事故では、墜落制止用器具を着けていても、親綱にかけていなかった例がいくつもありました。通常の作業中の事故では、手すりや中さんがない、作業の前に足場を点検していない例が多くありました。一側足場の死亡事故も、多くは手すりや中さんがない足場でした。
04実際にあった事故の例
塗装の確認中に、棚足場の開口部から墜落
令和5年7月、新しく造る船の中で、1層の棚足場を使って天井を塗装していた。塗り終わったあと、塗り残しがないか足場の上で確かめていたところ、足場の開口部から約2m下に落ちた(広島労働局の死亡災害速報)。
対策2m以上の開口部には囲いや手すりを付ける。付けられないときは墜落制止用器具を使わせる。作業を始める前に、手すりなどが外れていないか点検する。
組立て中に、作業床がない所から墜落
報告書の事例では、足場の組立て中に、まだ作業床を敷いていない開口部から落ちた例がある。
対策手すり先行工法で、手すりを先に付けてから作業床に乗る。床がない所に乗る前に、親綱と墜落制止用器具をかける。
通常の作業中に、建物と足場のすき間から墜落
本足場の通常作業中の事故のうち6件は、建物(躯体)側のすき間から落ちている。一側足場では、すき間が33cmあった例もある。
対策建物側のすき間をふさぐ(床材を足す、手すりを付ける)。作業のために外した手すりや床は、作業が終わったらすぐ戻す。
05防ぐための5つ
- 手すりと中さん足場の外側には、手すり(85cm以上)と中さん(35〜50cm)を付ける(枠組足場は、交さ筋かいと下さん、または幅木など)。外したら必ず戻す
- 建物側のすき間作業床と建物のすき間をふさぐ。広いすき間には手すりを付ける
- 墜落制止用器具は「かける」まで着けているだけでは止まらない。組立て・解体中は親綱を先に張って、移動のたびにかけ替える
- 手すり先行工法組立てでは手すりを先に付け、解体では手すりを最後に外す
- 作業前の点検作業を始める前に、手すり・中さん・作業床が外れていないか点検する。点検する人を決めておく
足場の点検は、令和5年10月から点検者を指名して、点検した人の名前を記録することが決まりになりました。くわしくは足場の点検、器具の使い方は墜落制止用器具の使い方と点検のページにまとめています。
06よくある質問
一側足場は、もう使えない?
令和6年4月から、幅1m以上の場所では、原則として本足場を使うことになりました。幅が1m未満の所や、障害物があって本足場を組めない所では、一側足場も使えます。
足場の上で作業する職人も、墜落制止用器具は必要?
手すりなどの墜落を防ぐ設備がきちんとある足場の上なら、決まりの上では使わなくても作業できます。設備を外して作業するとき、設備がない所に出るときは、墜落制止用器具を使います。
まとめ
- 令和元〜3年の足場からの墜落死亡41件のうち、組立て・解体中は13件、残りは使っている最中
- 墜落制止用器具を親綱にかけていない、手すり・中さんがない、点検していない例が多い
- 手すりを外したら戻す、建物側のすき間をふさぐ、作業前に点検する
出典:厚生労働省「建設業における墜落・転落防止対策の充実強化に関する実務者会合 報告書」(令和4年10月)、広島労働局「死亡災害速報 R5-11」、労働安全衛生総合研究所「足場からの墜落災害の現状とその防止対策について」、労働安全衛生規則 第518条・第519条・第563条・第567条。 数値は2026年10月時点で確認しています。