施工と安全 / 屋根工事
屋根上作業の墜落防止親綱の張り方・はしごの固定・スレートの踏み抜き
公開 ・ セコカン君
足場を組めない屋根の上でも、親綱と墜落制止用器具、はしごの固定で墜落は防げます。国の委託で作られた作業マニュアルをもとに、屋根の上の安全設備の設け方をまとめました。
01屋根からの墜落は、足場より多い
建設業の死亡災害のうち、墜落・転落は毎年およそ4割を占めます。平成22〜26年の墜落・転落災害782件を見ると、屋根・屋上からの墜落が100件、スレートなどの踏み抜きが79件で、合わせて179件(22.9%)。足場からの墜落(20.7%)を上回っています。
02法令で決められていること
| 場面 | 必要な措置 |
|---|---|
| 高さ2m以上の屋根の端 | 墜落のおそれがある所には、囲い・手すり・覆いなどを設ける。難しいときは防網を張り、墜落制止用器具を使わせる |
| 器具の取付設備 | 墜落制止用器具を使わせるときは、親綱などの取付設備を設ける |
| スレート・木毛板の屋根 | 踏み抜きのおそれがあるときは、幅 30cm以上 の歩み板を設け、防網を張る |
| 悪天候 | 強風・大雨・大雪で危ないときは、高さ2m以上の作業をしない |
03作業の前に決めること
- 屋根の勾配・形・周りの状況を調べ、リスクアセスメントをして作業計画を作る
- 職長と作業者で作業手順書を作り、工程ごとに危険を洗い出す
- 屋根勾配が 6/10以上 など、屋根面を作業床とみなせないときは、屋根用の足場を設ける
- 親綱の位置は、作業する範囲と上り下りの位置に合わせて決める
04親綱(主綱)の張り方
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 張る位置 | 軒先から棟を越えて、反対側の軒先まで張る。最初に張る親綱を主綱という |
| 親綱 | 合成繊維でJIS適合品。引張荷重19kNで切れないもの、外径 12mm以上 |
| 固定する先 | 建物、樹木、重り(水を入れたウエイトバケット)、自動車など、堅固な物 |
| 重りの扱い | 平らな所に置き、十分に水を入れる。設置後も水の量を確かめる |
| 自動車・重量物 | 75kg以上の重量物や自動車に固定するときは、キーを抜くなどして動かないようにする |
| 使う前 | 主綱を手で引っ張って、固定を確かめる |
主綱がけらば方向にずれないよう、両側のけらばに親綱固定ロープを取ります。寄棟、片流れなど屋根の形ごとに張り方が違い、方形やドーム形の屋根は綱が滑りやすく、設置がむずかしいとされています。
05はしごの掛け方
- 約75°に立て掛ける最初はやや急な角度で立て、ロープを張ってから約75°に合わせる
- 上端を突き出す軒先より 60cm以上 突き出す
- 上端を固定するはしごの支柱に近い位置で、堅固な構造物にロープで連結する。固定が終わるまで、補助者が足元を支える
- 下端も固定する下端も堅固な構造物に連結する。左右に一間以上の間隔をとる
- 3点支持で上り下り両手と片足、または両足と片手で、常に3点で支える
はしごの幅は30cm以上、すべり止めを付けるなど、転位を防ぐ措置が法令で求められています。
06安全ブロックを使うとき
- 棟の近くの主綱に、リングとカラビナで取り付ける
- ストラップ5.7mの安全ブロックは、軒先の高さ4m以下、または地上から取付け位置までの長さ8m以下の建物では使わない(小型のものを検討する)
- 1本の親綱で、2人以上が同時に上り下り・作業しない
- はしごの近くを上り下りするときの防護範囲は、はしごの左右およそ1m以内。大きく横へ動かない
07よくある災害と対策
スレート屋根を歩いて踏み抜く
明かり取りの波板や、古いスレートの上を歩き、踏み抜いて下の床まで落ちる。
対策幅30cm以上の歩み板を渡し、下に防網を張る。歩み板の上だけを歩く。
軒先から足を滑らせて落ちる
親綱を張らずに、あるいはフックを掛けずに軒先へ近づき、滑って落ちる。低い屋根でも頭から落ちれば命に関わる。
対策作業の前に主綱を張り、屋根に上がる前にフックを掛ける。軒先には必要以上に近づかない。
はしごが横にずれて倒れる
上端を固定しないまま上り、軒先ではしごがずれる。
対策上端と下端を固定し、軒先より60cm以上突き出す。固定が終わるまで補助者が支える。
まとめ
- 屋根・屋上からの墜落とスレートの踏み抜きは、足場からの墜落より多い
- スレート屋根では、幅30cm以上の歩み板を設け、防網を張る
- 主綱は軒先から棟を越えて反対側まで張り、堅固な物に固定する。外径12mm以上
- はしごは約75°に立て掛け、軒先より60cm以上突き出して、上下を固定する
08試験とのつながり
- 1級建築施工管理技士 一次検定:労働災害・公衆災害
出典:労働安全衛生規則 第518条〜第524条・第527条、建設業労働災害防止協会「足場の設置が困難な屋根上作業 墜落防止のための安全設備設置の作業標準マニュアル」(厚生労働省委託)。 数値は2026年10月時点で確認しています。